
本記事のポイント
- 1製造業を中心にインド中小企業の景況感指数が59.3から60.4に上昇し、原材料高の逆風下でも事業環境の改善を示した。
- 2調査対象の約49%が事業環境の改善を報告し、製造業では43%が売上増加、悲観的回答は27%に低下した。
- 32026年10-12月期から2027年7-9月期にかけ、製造業の事業期待指数は63.3から64.8、卸小売業は61.1から60.9へ推移する見通しだ。
ニュースの背景
SIDBI(インド産業開発銀行)は、零細・中小・小規模企業(MSME)の景況感を定点観測するため、四半期ごとに「MSMEアウトルック調査」を実施している。今回は第8回調査で2026年7-9月期を対象とし、原材料コスト上昇という逆風下でMSMEセクターの事業環境がどう変化したかを、製造業・卸小売業・サービス業の3部門別に指数化して示した。
日本企業への影響
インドのMSMEセクターは裾野産業や部品供給網の一角を担っており、製造業の景況感改善は現地に進出する日系製造業にとってサプライヤー基盤の安定性を見る材料となり得る。原材料コスト上昇が続いている点は、現地調達を行う日本企業にとって調達コストや価格交渉の動向を注視すべき要素となる。現時点で公表されている情報からは、日本企業への直接的な影響は確認できない。
この記事の概要
インド産業開発銀行(SIDBI)が実施した「SIDBI MSMEアウトルック調査」第8回(2026年7-9月期)によると、零細・中小・小規模企業(MSME)の景況感を示すMSME景況感指数(M-BCI)は60.4となり、前四半期の59.3から上昇した。原材料コストの上昇が続く中でも、製造業・卸小売業・サービス業の3部門すべてで中立水準の50を大きく上回り、インドMSME経済の底堅さを裏付けた。調査対象企業の約49%が前四半期と比べ事業環境が改善したと回答し、33%が横ばい、18%が悪化したと答えた。
部門別では製造業の景況感が最も強く、M-BCIは59.5から61.0に上昇。売上が増加したと答えた企業は43%にのぼり、悲観的な回答の割合は27%まで低下した。先行き指標である事業期待指数(M-BEI)も、全体で2026年10-12月期61.7、2027年7-9月期62.2と予測され、製造業に限れば同じ期間でそれぞれ63.3、64.8まで上昇する見通しだ。
サービス業のM-BCIも60.4から61.3へ改善した。卸小売業の先行き期待も前向きで、2026年10-12月期のM-BEIは61.1、2027年7-9月期には60.9まで上昇すると見込まれている。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
MSME(Micro, Small and Medium Enterprises)
インドにおける零細・小規模・中規模企業の総称で、インド経済において雇用や生産の重要な担い手とされる企業区分。
SIDBI(Small Industries Development Bank of India)
インド産業開発銀行。中小零細企業(MSME)向けの金融支援や景況感調査などを行う政府系金融機関。
M-BCI(MSME Business Confidence Index)
MSMEの現在の景況感・事業環境の健全性・楽観度を測定する指数で、50を中立水準とする。
M-BEI(MSME Business Expectations Index)
MSMEの将来の事業見通しに対する期待度を示す先行指標で、今後複数四半期先の景況感予測に用いられる。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


