
本記事のポイント
- 1モンスーン期の降雨量が長期平均を上回るか下回るかで、食料穀物生産量が前年比で大きく増減する傾向が確認された。
- 22023年はマハーラーシュトラ州などの豪雨でトマト供給が減り、通常30〜50ルピーの価格が一部都市で150ルピー超に急騰した。
- 3食品価格の上昇は消費者物価指数を押し上げ、インド準備銀行が利下げを見送るなど金融政策の判断材料になっている。
日本企業への影響
モンスーンの降雨状況は農産物需要だけでなく食品価格や消費動向、金融政策の方向性を左右するため、インドで事業を行う日本企業にとって需要見通しや価格変動リスクを把握する先行指標になり得る。特に食品・消費財関連や、金利動向に影響を受ける金融・不動産分野の企業は、モンスーン期の降雨状況を早期に確認すべき情報の一つといえる。
この記事の概要
インドでは6月から9月にかけての南西モンスーンが年間降水量の大半を占め、農業生産を通じて経済全体に影響を及ぼす。インド気象庁のデータでは、2024年は7月から8月にモンスーンが最盛期を迎え、年間降雨量の7割以上がこの4カ月間に集中した。地域差も大きく、過去10年平均で北東部や中央部は降雨量が1,000ミリを超えるのに対し、北西部は500〜600ミリ程度にとどまる。
パンジャブ州やハリヤナ州はインダス川水系の灌漑が整い依存度は低いが、マディヤ・プラデシュ州、グジャラート州、マハーラーシュトラ州などの「モンスーンコアゾーン」は天水農業が中心で、降雨変動の影響を強く受ける。2000年から2024年の分析では、平均降雨量が長期平均を上回った年ほど食料穀物生産量が伸びる傾向があり、干ばつだった2002年度は降雨量が長期平均を約20%下回り穀物生産は前年比17.9%減、2010年度は降雨量が長期平均を5.0%上回り生産は約10%増となった。2023年にはマハーラーシュトラ州やカルナータカ州の豪雨・洪水でトマトが被害を受け、通常1キログラム30〜50ルピー程度の価格が一部都市で150ルピー超まで上昇した例もある。
食品価格の上昇は消費者物価指数を押し上げ、インド準備銀行の金利判断にも影響する構図だ。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
LPA(Long Period Average)
過去30年以上の平均モンスーン降雨量を示す指標。インド気象庁は現在1971〜2020年の50年間の平均値868.6ミリをLPAとして採用している。
モンスーンコアゾーン(Monsoon Core Zone(MCZ))
マディヤ・プラデシュ州、グジャラート州、マハーラーシュトラ州などを含む、モンスーン期の降雨量変動が特に大きい中央部・西部の地域。
インド準備銀行(Reserve Bank of India(RBI))
インドの中央銀行で、食品インフレの動向を踏まえて利下げ・利上げなどの金融政策を判断する機関。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


