
本記事のポイント
- 18月の総合収支が454億ドルの黒字となり、NRI預金急増が外貨流入を押し上げ対外収支が大幅改善した
- 2経常赤字は52億ドルに縮小したが、4〜8月累計では183億ドルと前年同期より拡大し構造圧力が残る
- 3インド準備銀行は新設のFERR規制について、ルピー買い・外貨売りの特定デリバティブ契約にのみ適用されると明確化した
ニュースの背景
インドは恒常的に輸入が輸出を上回り貿易赤字を抱えており、通貨ルピーの対ドル下落圧力が続いていた。インド準備銀行は10月10日にルピー下落を背景とした規制措置を発表し、外為デリバティブ取引に関する外為リスク準備金(FERR)制度を導入した。これにより適用範囲をめぐり市場で確認が求められ、準備銀行が対象契約を限定する説明を行った。
日本企業への影響
インドに進出する日系企業にとって、ルピー相場の安定度合いは現地法人の為替リスク管理やレミッタンス計画に関わる。NRI預金急増や資本流入拡大による国際収支の改善は通貨安定に資する材料となり得る一方、貿易赤字や経常赤字の構造は変わっていない。新設のFERR規制が外貨建てデリバティブを用いるヘッジ取引に影響し得るため、現地で為替デリバティブを利用する企業は適用範囲を確認する必要がある。
この記事の概要
インド準備銀行が発表した国際収支統計によると、2026年8月の総合収支は454億ドルの黒字となり、前年同月の56億ドルの赤字から大幅に改善した。黒字幅は7月の208億ドルからも拡大しており、外貨準備の裏付けとなる資金流入が強まっていることを示す。背景にあるのは銀行資本収支の急回復で、8月は647億ドルの流入となり、前年同月の47億ドルの流出から一変した。
なかでも非居住インド人(NRI)の預金は830億ドルに急増し、前年同月の10億ドルから大きく伸びた。経常収支については、赤字が52億ドルとなり前年同月の61億ドルから縮小した。貿易赤字は依然として266億ドルと大きいが、サービス収支の黒字が165億ドルに拡大し一定の下支えとなった。
対内直接投資は33億ドルの純流入に転じ、外国人によるポートフォリオ投資も17億ドルの純流入となった。一方で4〜8月累計の経常赤字は183億ドルと前年同期の128億ドルから拡大しており、構造的な圧力は残る。インド準備銀行は同時期、ルピー建て為替デリバティブ契約に適用される新たな外為リスク準備金(FERR)制度について、対象をルピー買い・外貨売りの特定契約に限定する方針を明らかにした。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
FERR(Foreign Exchange Risk Reserve(外為リスク準備金))
インド準備銀行が10月10日に導入した制度で、ルピー買い・外貨売りの特定の為替デリバティブ契約について、取扱銀行が準備銀行に積み立てることを求める準備金。
NRI預金(Non-Resident Indian Deposits)
海外居住のインド人がインド国内の銀行に預け入れる外貨・ルピー建て預金で、国際収支の銀行資本収支における主要な流入項目の一つ。
国際収支(BoP)(Balance of Payments)
一定期間における一国の対外取引全体を記録した統計で、経常収支・資本収支などから構成され、インド準備銀行が月次で公表している。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


