
本記事のポイント
- 1サウジアラムコがフーシ派の攻撃を受けた東西パイプライン停止を理由にインド向け原油の定期契約供給を止め、量的確保に不透明感が生じている。
- 2ブレント原油が1バレル108ドル前後まで急騰し、インドの製油各社は代替調達で調達コスト上昇に直面する見通しだ。
- 3トレーダーはイラク産原油をホルムズ海峡経由で融通しているが、タンカー運賃の高騰が追加コストを押し上げている。
ニュースの背景
サウジアラビアの東西パイプラインは、紅海の混乱以降にホルムズ海峡経由の輸送も低調となる中で、原油輸送の主要な代替ルートとして機能してきた。このパイプラインがフーシ派によるとみられる攻撃を受けて先週末に停止し、サウジアラムコはインドの製油各社への原油供給を当面見合わせると通告した。アラムコはこれまでインドの原油輸入の約9%を占め、通常は年間契約に基づき供給してきた。
日本企業への影響
インドで石油精製・石油化学事業や燃料調達に関わる日本企業にとって、原油調達コストとタンカー運賃の上昇は原料コストや物流費に波及し得る。インドの製油各社が代替供給元への切り替えを迫られる中、供給の不確実性や価格変動が拡大すれば、インド国内で燃料や石化製品を扱う日系企業の調達計画にも間接的な影響が及ぶ可能性がある。エネルギー価格動向の注視が求められる局面だ。
この記事の概要
サウジアラムコがインドの製油各社に対し、原油供給を当面停止すると通告した。サウジアラビア国内の主要な東西パイプラインが、フーシ派によるとみられる攻撃を受けて先週末に稼働を止めたことが直接の要因だ。このパイプラインは、紅海の混乱以降にホルムズ海峡経由の輸送も低調となる中で、原油輸送の主要な代替ルートとして機能してきた経緯がある。
供給停止を受けて原油価格は急騰し、ブレント先物は今週、1バレル108ドル前後まで上昇した。アラムコはこれまでインドの原油輸入の約9%を占めてきたが、紅海経由・ホルムズ海峡経由の両ルートで供給を止めた状態にある。一方でサウジ側は一部のスポット貨物をトレーダーに販売しており、トレーダーはイラク産原油を大幅な値引きで調達し、ホルムズ海峡経由でオマーン湾へ運んだ後、船舶間で積み替えてインドなどへ転売する手法を取っているという。
インドの製油各社は代替調達に大きな支障はないとみるが、代替調達に伴うコスト増の要因として、ロシア産原油の値引き幅も既に縮小していることが重なり、原油調達コストとタンカー運賃の上昇は避けられない情勢だ。 背景として、政策運用や現地実務の差分が最終的な収益性に影響しやすいため、一次情報の確認だけでなく、現場ヒアリングを含めた検証が重要です。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
サウジアラムコ(Saudi Aramco)
サウジアラビアの国営石油会社で、世界最大級の原油生産・輸出企業。年間契約に基づき各国の製油会社に原油を供給している。
東西パイプライン(East-West Pipeline)
サウジアラビア国内を横断する原油輸送パイプラインで、紅海の混乱以降にホルムズ海峡経由の輸送も低調となる中、主要な代替輸送ルートとなっていた。
ホルムズ海峡(Strait of Hormuz)
中東の主要な原油輸送ルートである海峡で、紅海とは別の経路にあたり、世界の原油輸送における重要な要衝の一つ。
フーシ派(Houthis)
イエメンを拠点とする武装組織で、今回サウジアラビアの東西パイプラインへの攻撃の実行主体とみられている。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


