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インドの自動車市場を調べていて、思わず二度見した数字があります。
2025年、インドの乗用車市場でトップだったのは「マルチ・スズキ」。市場シェアは約40%。つまり、インドで売れる新車の約10台に4台が、マルチ・スズキのクルマだったということです。
「インドといえばトヨタ」でも「ホンダ」でもない。圧倒的なトップは、スズキです。
2025年の年間販売ランキングを見ると、DzireがNo.1。WagonR、Ertiga、Swiftも上位に並び、トップ10のうち6車種をマルチ・スズキが占めました。日本でもおなじみの車名が、インドのベストセラーリストに並んでいる。なんだか不思議な感じがします。
面白いのは、スズキが「日本で成功したクルマをそのままインドへ持っていった」わけではないことです。マルチ・スズキは1981年にインド政府とスズキの合弁会社として設立され、1983年から現地生産を開始しました。それから40年以上。インドの人たちがクルマに何を求めるのかを見ながら、インド市場の中でブランドを育ててきた。
価格、燃費、維持費、家族で使いやすいこと、そして購入後に整備や修理をしやすいこと。クルマそのものだけでなく、「使い続けるための環境」まで含めて、長い時間をかけて市場に根を張ってきたことが、今の強さにつながっているようです。
そして最近、インドの自動車市場でもう一つ気になる動きが出てきています。
2025年8月、インドの乗用車販売でCNG車・ハイブリッド車・EVを合計した比率が42%に達し、初めてガソリン車を上回りました。EV販売は前年同月比52%増、浸透率も7.7%に上昇しています。インドの消費者の選択肢が、静かに、でも確実に変わり始めている。
そのEV市場でシェアトップはタタ・モーターズ(約43%)。一方、CNG車市場ではマルチ・スズキが約71%のシェアを握っています。「電動化」と一口に言っても、EVだけでなくCNGという選択肢が広く使われているのが、インドらしいところかもしれません。
インドビジネスの話を調べていると、「現地に合わせた製品づくり」の大切さをよく耳にします。40年以上かけてインドの日常に溶け込んできたスズキの歴史と、今まさに変わりつつある消費者の動き。その両方を見ていると、インドという市場の奥行きをあらためて感じます。
この記事の執筆者
ライター/Hiroko
海外在住。東南アジアへの旅好きが高じてアジアのビジネス動向を追うようになる。インドのビジネス情報や最新トレンドをわかりやすくお届けします。


