
本記事のポイント
- 12026年4〜6月に太陽光発電8,133GWhが出力抑制され、国全体の1.5日分の消費電力に相当する電力が活用されずに終わった。
- 2IEXでは日中に電力価格がほぼゼロまで急落し、夜間には規制上限の1kWhあたり10ルピーまで急騰する価格の乱高下が起きた。
- 3送電網の混雑対応として緊急時に再エネ事業者へ出力削減を指示する仕組みが使われ、4月の抑制量は1〜3月合計より73.5%増えた。
ニュースの背景
インドは太陽光を含む再生可能エネルギーの導入を急速に拡大し、現在の288GWから2030年までに500GWへ増やす目標を掲げている。太陽光は日中の需要を支える重要な電源だが、送電網の整備が拡大ペースに追いつかず、系統安定性を守るために発電を意図的に減らす「抑制」が頻発するようになった。今回の議会報告で、その規模と発生パターンが具体的な数値として示された。
日本企業への影響
インドで太陽光関連事業や電力インフラ、蓄電・送配電システムに関わる日本企業にとって、送電網の混雑による出力抑制の常態化は発電資産の稼働率や収益予測に影響し得る事項だ。電力取引市場での価格の急変動も、発電・小売事業に参入する企業の収益計画に関わる可能性がある。現時点で特定の日本企業への直接的な言及は確認できないが、インドの再エネ・送配電関連事業に関与する企業は市場動向を注視する必要がある。
この記事の概要
インドの新再生可能エネルギー省が議会に提出した報告によれば、2026年4〜6月期に送電網の混雑と系統安定性維持のため、太陽光発電8,133ギガワット時(GWh)が出力抑制の対象となった。この期間、国内の最大電力需要は270ギガワット(GW)という過去最高値を記録した。月別では4月に2,417GWh、5月には3,235GWhへ増加し、6月は2,481GWhとなった。
抑制された電力量は、国全体が4〜6月の1.5日分に消費する電力量にほぼ相当する規模だ。日中の需要不足がほとんどなかったにもかかわらず抑制が発生した点は、太陽光が日中需要を支える一方で余剰発電が活用されずに終わっている実態を示す。電力市場でもこの歪みは顕在化し、インド最大の電力取引所であるインディアン・エナジー・エクスチェンジ(IEX)のリアルタイム市場では、夏場に日中の複数の時間帯でスポット価格がほぼゼロまで急落し、夜間には規制上限の1キロワット時あたり10ルピーまで跳ね上がる日が相次いだ。
太陽光など再生可能エネルギーは「マストラン」扱いとされるが、系統の安全確保を理由に出力抑制の対象となり得る。緊急時三次予備力補助サービス(Emergency TRAS)という仕組みでは、全国負荷分散センター(NLDC)が州間送電網に接続する再エネ事業者に出力削減を指示できる。4月の同措置による抑制は1日平均15.76GWhで、4月5日には単日で80.5GWhに達し、これはウッタラーカンド州とヒマーチャル・プラデーシュ州の一日分の電力需要に相当する規模だった。
4月の抑制量は1〜3月合計より約73.5%多かった。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
Emergency TRAS(Emergency Tertiary Reserve Ancillary Services)
系統全体が緊急状態にある際、州間送電網に接続する再エネ事業者に出力削減を指示できる緊急時の三次予備力補助サービス。
NLDC(National Load Dispatch Centre(全国負荷分散センター))
インド全体の電力系統の運用・安定性維持を統括する機関で、緊急時に発電事業者へ出力調整を指示する権限を持つ。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


