
本記事のポイント
- 1原油輸入費用が前年比48.4%増の748億ドルに膨らみ、9月以降の価格再上昇でさらなる負担増が見込まれる。
- 2電力不足が2023年8月以来の水準となる5億6000万kWhに達し、ホルムズ海峡の供給混乱が国内エネルギー事情を圧迫している。
- 3米国の制裁法でロシア産原油への依存低減を迫られる一方、中東供給不安も重なりインドのエネルギー調達が綱渡り状態にある。
ニュースの背景
インド財務省は毎月、経済動向をまとめた月例経済報告書を公表している。今回の9月分では、地政学的緊張による原油高と電力不足が同時に進行していることが指摘された。背景には中東情勢の緊迫化によるホルムズ海峡での供給混乱や、米国がロシア産原油輸入国に高関税を課せる制裁法を成立させたことがある。こうした外部要因が重なり、インド国内の物価と電力需給に影響を与え始めている。
日本企業への影響
インドでエネルギー・原材料コストが上昇すれば、現地に生産拠点を持つ日系製造業のコスト構造にも影響が及ぶ可能性がある。電力不足が長期化すれば工場の安定稼働にも関わるため、インド進出企業はエネルギー調達状況や電力供給の安定性を注視する必要がある。また、インフレ加速は現地消費動向や人件費にも波及し得るため、事業計画の前提条件として動向を継続的に確認することが望ましい。
この記事の概要
インド財務省が10月1日に公表した9月の月例経済報告書は、地政学的緊張や原油高により輸入インフレが高まる可能性があると警告した。8月の消費者物価指数は前年比4.82%、卸売物価指数は9.92%とそれぞれ加速しており、燃料・電力価格の上昇が主因となっている。インド石油省によれば、今年4月から8月までの原油輸入量は前年とほぼ同水準だったものの、輸入費用は前年比48.4%増の748億ドルに膨らんだ。
9月以降は原油価格が再上昇しており、輸入コストはさらに拡大する見込みだ。規制当局の日次データを分析した結果では、インドの電力不足は5億6000万kWhに達し、2023年8月以来の高水準となった。背景にはホルムズ海峡での原油・液化天然ガス供給の混乱がある。
さらに米国で成立した「ロシア・イラン制裁法」により、ロシア産原油を輸入する国に最大100%の関税を課す権限が大統領に与えられたことで、インドの石油企業はロシア産原油の輸入削減を迫られている。ただし中東産原油の供給不安が続く中、完全な脱ロシア産は困難な情勢だ。加えて財務省はエルニーニョ現象が冬場の農産物に打撃を与える懸念も示し、モンスーン期の降雨不足による収穫減と農家所得の伸び鈍化を警告している。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
WPI(卸売物価指数)
企業間取引における商品価格の変動を示す指数で、消費者物価指数とともにインドのインフレ動向を把握する主要指標として用いられる。
ロシア・イラン制裁法
米国で成立した法律で、ロシア産原油を輸入する国に対し大統領が最大100%の関税を課す権限を与えるもの。
月例経済報告書
インド財務省が毎月公表する経済動向の分析資料で、物価・貿易・エネルギーなど多岐にわたる指標と懸念事項をまとめている。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


