
本記事のポイント
- 1インドでは2022年から2026年8月の間にAI関連で8万3100人分の新規雇用が生まれ、失職の3万1921人分を上回った。
- 2解雇の多くはチャットボットに置き換わったサポート業務で、採用の多くはAI需要を理由にした新卒IT人材だと分析されている。
- 3初級層の求人が減る一方、経験豊富な人材への需要が強まる「二層化」した労働市場がインドと韓国で進んでいるという。
ニュースの背景
インドは多国籍企業のバックオフィス業務を長年担ってきた国で、労働力人口が非常に多いことからAI導入が雇用に与える影響が最も大きく現れる市場とされている。野村証券のエコノミストらは2022年から2026年8月までにアジア各地で起きたAI関連の解雇・採用凍結・雇用創出の事例69件を調査し、その動向をまとめた報告書を公表した。
日本企業への影響
インドにIT関連拠点やBPO業務を持つ日本企業にとって、AI導入によって新卒・初級層の採用需要が弱まり、経験豊富な人材への需要が強まる二層化が進んでいる点は採用戦略や人件費構成の見直しに関わる可能性がある。一方でサポート業務のチャットボット代替が進んでいることも、コールセンターやバックオフィス業務を委託している企業には参考になる材料といえる。
この記事の概要
野村証券のエコノミスト、ソナル・バルマ氏とシー・イン・トー氏がまとめた報告書によると、インドはAIが雇用に与える影響を測る上での「グラウンドゼロ」になっているという。2022年から2026年8月にかけてアジア各地で起きたAI関連の出来事69件を調査した結果、インドではAI関連の新規雇用が8万3100人分創出された一方、解雇や自然減による失職は3万1921人分だったと分析している。報告書は、解雇の多くはチャットボットに置き換えられたサポート業務であり、採用の多くはIT関連企業がAI需要を理由に説明する新卒採用だと指摘した。
同時に、インドや韓国ではAI導入によって新卒など初級層の需要が弱まる一方、業務理解力の高い経験豊富な人材への需要が強まる「二層化」した労働市場が生まれているとも述べている。アジア全体では調査期間中に13万758人分のAI関連採用があり、9割以上がテクノロジー分野だった一方、6万654人分が失職し、その約6割が金融サービス分野だったという。インフォシス共同創業者で会長のナンダン・ニレカニ氏も、インドがAIによる生産性向上を大きく取り込める立場にあると述べたとされる。
背景として、政策運用や現地実務の差分が最終的な収益性に影響しやすいため、一次情報の確認だけでなく、現場ヒアリングを含めた検証が重要です。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
BPO(Business Process Outsourcing)
企業のバックオフィス業務やコールセンター業務などを外部に委託する形態で、インドやフィリピンで大きな労働市場を形成している。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


