
本記事のポイント
- 1国内組立の携帯電話メーカーは基本奨励金に加え、部品の国内調達比率が4分の1を超えると最大1.5%の追加支援を受けられる。
- 2インド資本が過半を占め国内で商標・知財を保有する『インドブランド』は、一律5%の奨励金と低い売上高要件という優遇を受ける。
- 3奨励金の対象は前年度生産実績の115%を超えた販売分に限られ、メーカーは増産ペースの加速を迫られる。
ニュースの背景
インドは2020年度から前会計年度まで大規模電子機器製造向けのPLIスキームを実施し、携帯電話の国内生産拡大を後押ししてきた。同制度は2026年3月末で終了し、後継として今回の携帯電話製造スキーム(MPMS)が7月15日に閣議承認され、8月21日に正式告示された。国内組立の奨励に加え、部品の現地調達や研究開発、インド資本ブランドの育成を重視する内容に制度設計が変更された。
日本企業への影響
インドで携帯電話や電子部品の製造・組立を手掛ける日系企業やEMS事業者にとって、新制度の奨励金体系や部品国内調達比率の要件は生産計画や調達戦略に直接関わる可能性がある。特にインドブランドに手厚い優遇が設けられたことで、現地資本企業との競争条件が変化する点は確認しておく必要がある。制度の適用条件や売上高基準を精査し、自社の対象区分を確認することが実務上重要になる。
この記事の概要
インド電子情報技術省は8月21日、携帯電話製造スキーム(MPMS)を告示した。7月15日に閣議承認された6250億ルピー規模の制度で、2020年度から前会計年度まで続いた大規模電子機器製造向けPLIスキームを引き継ぐ。制度は2026年4月1日から発効し、FY31まで5年間続く。
基本奨励金はインド国内での組立実績に応じて年率2.25〜5%が支給されるほか、指定部品を国内調達すれば最大1.5%の追加奨励金が上乗せされる。追加奨励金を得るには、当該年度に販売する端末の少なくとも4分の1を国内調達で賄う必要がある。インド資本のブランドには特に手厚い設計で、インド国民が過半を出資し国内法人格・知的財産・商標を保有することが条件となる。
こうした「インドブランド」には制度期間を通じて一律5%の奨励金が適用され、他ブランドに課される最低売上高要件も免除される。必要な売上高基準はインドブランドが100億ルピー、それ以外は1000億ルピーと大きな差がある。奨励金は前年度生産実績の115%を超える販売分にのみ支給され、急速な増産を促す仕組みとなっている。
電子情報技術相アシュウィニ・バイシュナウは、制度期間中に累計39兆ルピーの生産を目指すと述べた。</br>
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
MPMS(Mobile Phone Manufacturing Scheme(携帯電話製造スキーム))
インド電子情報技術省が2026年8月21日に告示した、国内での携帯電話組立と部品の現地調達を奨励する5年間の支援制度。
PLIスキーム(Production Linked Incentive Scheme for Large Scale Electronics Manufacturing)
2020年度から前会計年度まで実施された大規模電子機器製造向けの生産連動型奨励金制度で、MPMSの前身にあたる。
インドブランド
インド国民が過半を出資し、国内法人格および知的財産・商標を国内で保有する携帯電話ブランドを指し、MPMSで優遇奨励金の対象となる区分。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


