
本記事のポイント
- 1許可申請の実務整備:想定書類(インボイス、原産地証明、サプライヤー契約、用途証明)を社内で棚卸しし、申請から審査完了までのリードタイムの目安を30〜60日と見積もって代替在庫を確保する手順を設けること。
- 2FTA経由調達の再評価:関税差が解消される想定で、既存調達コストに輸入関税増分(例:現行比+5〜12%を想定、前提=運賃と保険を除く物品価格に対する額)を加えた総合コスト試算を行い、国内調達や長期供給契約の採算性を比較する。
- 3高純度銀利用企業向けの対策:代替材料検討は短期(3カ月)に物性・工程適合性評価を実施し、中期(6〜12カ月)で試作・品質検証、並行して安全在庫(2〜4か月分)を積み増す在庫戦術を採る。重要部品は二重調達ルートを設定する。
この記事の概要
インド政府は5月中旬に銀の輸入規制を強化し、主要品目を「制限品目(restricted)」に移して政府の許可を原則として必要とする運用に改めた。これは先に実施された輸入関税の引き上げ(15%)を受け、関税差を利用した中継輸入やFTA経由の裁定取引が増加したことを受けた措置であり、外貨準備の保全や高純度貴金属の押し出し抑制が狙いとされる。対象には特に純度99.9%相当の銀塊など高純度カテゴリーが含まれ、これらは特別許可が必要となる明確な運用が示された一方で、輸出向けの原材料調達には例外措置が適用される場合があるとされた。
影響はスポット輸入の抑制と調達リードタイムの延伸に直結するため、電子部品や化学製品など銀を素材に用いる製造業の調達・在庫管理に実務的負荷がかかる見込みだ。 当面は手続きの不透明さから輸入許可申請の集中や審査遅延が起きやすく、国内需給や取引価格の変動も予想される。海外FTAを利用した低関税ルートが封じられることで、既存調達コストの再試算が不可避になる。
外為管理上の配慮から輸入総量の管理が厳しくなる可能性もあり、外部ショックに備えた代替供給網の確保と短期的な在庫戦略が重要となる。
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