
本記事のポイント
- 1石炭火力発電所191カ所中96カ所が稼働3日未満の在庫となり、電力安定供給への懸念が強まっている
- 2猛暑による需要増とモンスーン不足による水力減少が重なり、石炭火力への依存度が一段と高まった
- 3政府は石炭輸入要請案を見送り、コール・インディアの増産と鉄道輸送の改善で乗り切る方針に転換した
日本企業への影響
インドに生産拠点を持つ日系製造業にとって、電力需給の逼迫は計画停電や電力コスト上昇のリスクにつながりうる。特に自動車・化学・鉄鋼など電力多消費型の産業集積地では、電力安定性の変化を注視する必要がある。現時点で特定の日本企業への直接的な影響は確認できないが、間接的な事業環境リスクとして留意が必要だ。
この記事の概要
インドの石炭火力発電所で燃料在庫の逼迫が深刻化している。中央電力庁のデータによると、10月19日時点で稼働3日分未満の石炭在庫しか持たない発電所は191カ所中96カ所に達し、9月中旬の60カ所から急増した。発電所全体の石炭在庫は10月以降で約5%減少した。
石炭省は先週、発電所向け供給を増やしたと説明していたが、エルニーニョに関連した猛暑で電力需要が押し上げられ、モンスーンの降雨不足で水力発電量が落ち込んだことが重荷となっている。9月の石炭火力発電量は前年同期比13.3%増えた一方、水力発電は20%減少した。電力需要と供給の差は9月に5億6000万キロワット時まで拡大し、2023年8月以来の高水準となった。
政府は在庫補充のため発電所に石炭輸入を求める案を検討していたが、国際価格の高騰とルピー安で輸入コストが上昇したため、この計画を保留した。代わりに国有石炭大手コール・インディアに増産を、鉄道当局に石炭の発電所への安定輸送を要請している。基準となる一般炭価格はここ3年で最高水準にあり、ルピー安が輸入コストをさらに押し上げている。
政府はすでに10月1日から年末まで、自家消費用石炭火力発電所100カ所超に最大出力での稼働を指示している。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
CEA(Central Electricity Authority(中央電力庁))
インドの電力分野を所管する政府機関で、発電所の石炭在庫や電力需給データを公表している。
コール・インディア(Coal India Ltd)
インド政府が株式を保有する国有石炭生産大手で、国内炭供給の中心的役割を担う企業。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


