
本記事のポイント
- 1HDFC銀行トップが、FCNR(B)預金による資金流入見通しが当初想定より下振れする可能性を示唆した。
- 2税制上、中東・シンガポール以外に住むNRIやOCIには借入投資型の仕組みが経済的に不利になる構造上の問題が浮上した。
- 3UAEやオマーンの規制強化により、HDFC銀行を含む各行が現地での資金調達や新規顧客獲得に制約を受けている。
日本企業への影響
現時点で公表されている情報からは、日本企業への直接的な影響は確認できない。
この記事の概要
インド準備銀行が導入したFCNR(B)預金制度による非居住インド人(NRI)からの資金誘致について、大手民間銀行の経営トップが相次いで慎重な見方を示した。HDFC銀行のササンダール・ジャグディシャン最高経営責任者は、制度開始時点では税制上の影響が十分に検討されておらず、中東とシンガポール以外の欧州・米国・オーストラリア在住のNRIやOCIにとっては、借入で投資する仕組みが総利息ベースで課税されるため経済合理性に乏しいと説明した。その上で、潜在的な資金流入額は当初想定の600億〜800億ドルから500億〜550億ドル程度へ下振れする可能性があるとの見方を示した。
これは自身の判断ではなく市場専門家の試算に基づくものだとした。加えて、地政学的緊張を受けてアラブ首長国連邦(UAE)やオマーンの中央銀行がレバレッジを抑制し、銀行に高い流動性バッファーの維持を求めていることも調達額を圧迫しているという。HDFC銀行自体もUAE当局による新規顧客獲得の禁止措置や、同地域の海外駐在員事務所を対象とした助言の影響を受けているとした。
コタック銀行のアショク・ヴァスワニ最高経営責任者、ICICI銀行のサンディープ・バトラ執行役員、アクシス銀行のアミタブ・チョウドリー最高経営責任者も、いずれも具体的な目標額の開示は避け、提携銀行との協調や金利水準など複数の要因次第だと述べた。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
FCNR(B)(Foreign Currency Non-Resident (Bank) Deposit)
非居住インド人(NRI)が外貨建てで預け入れできる定期預金制度で、インド準備銀行の枠組みのもとインド国内銀行が取り扱う。
NRI(Non-Resident Indian)
インド国外に居住するインド国籍者を指す用語で、インドの金融・税制上、居住者とは異なる扱いを受ける。
OCI(Overseas Citizen of India)
インド国籍を持たないが、インド系の外国籍者に付与される特別な地位で、一定の権利がインド国内で認められる。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


