
本記事のポイント
- 1ロイターの調査によれば、インドの実質GDP成長率は今年度7.7%から6.6%へ減速する見通しとなった。
- 2企業は財務体質が良好でも需要の先行き不透明感から大型投資を控える傾向にあり、雇用創出への影響が懸念される。
- 3イラン情勢を背景とした原油高が輸入依存度9割のインド経済の物価と成長の両面に重荷となっている。
ニュースの背景
インド政府統計では2025/26年度(FY26)に7.7%の高成長を記録し、1〜3月期の民間投資も改定後のGDP系列で最速の10.8%拡大となった。しかしエコノミストの間では公表統計が実体経済の強さを過大に示しているとの見方が広がっており、企業の投資姿勢は依然慎重だ。こうした中でイラン情勢による原油高が新たな下押し要因として加わり、今回の調査で成長率見通しが下方修正された。
日本企業への影響
インド市場向けに投資・生産計画を持つ日系企業にとって、成長率の減速と企業の投資姿勢の慎重化は需要見通しに関わる要素となる。特に輸出志向の産業は影響を受けやすいとされ、原油高による物価・輸送コスト上昇も事業コストに関係する可能性がある。RBIの金利政策動向も資金調達コストに影響するため、今後の政策会合の結果を確認する価値がある。
この記事の概要
ロイターが42人のエコノミストを対象に7月21日から27日にかけて実施した調査によると、インドの2026/27年度(FY27)の国内総生産(GDP)成長率は前年度の7.7%から6.6%に減速する見通しだ。2027/28年度(FY28)には6.8%へやや持ち直すと予測されている。ソシエテ・ジェネラルのインド担当エコノミスト、クナル・クンドゥ氏は、公表される成長率の見出し数値は実際の経済活動の勢いを過大に示している可能性があると指摘した。
政府統計では1〜3月期の民間投資が改定後のGDP系列で最速となる10.8%の拡大を記録したものの、企業は良好な財務体質にもかかわらず大型の資本支出を控える傾向にあるという。モルガン・スタンレーのチーフインド担当エコノミスト、ウパサナ・チャチュラ氏は、輸出志向の産業が特に打撃を受けやすく、需要の見通しが弱まれば企業が大型投資判断を延期する可能性があると述べた。米国とイスラエルによるイランへの軍事行動を背景に世界の原油価格が上昇しており、原油輸入の約9割を海外に依存するインドは燃料・輸送コストの上昇による物価高リスクにさらされている。
インド準備銀行(RBI)は8月の金融政策会合で政策金利を維持するとの見方が大勢で、当局は原油高が物価と成長に及ぼす影響を慎重に見極める構えだ。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
RBI(Reserve Bank of India(インド準備銀行))
インドの中央銀行で、政策金利の決定など金融政策を担う機関。8月の会合で政策金利を維持するとの見方が示されている。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


