
本記事のポイント
- 1Rapidusは国内人材確保の制約を補うため、インドの開発拠点を活用した設計体制を新たに組み込んだ。
- 2HCLTechが担うのはマスク設計からレイアウト設計まで多岐にわたり、将来的な人材育成でも両社が連携する。
- 3経産省による3年4,000億円の追加出資発表と時期が重なり、2027年度の2ナノ量産目標に向けた体制強化が同時進行している。
ニュースの背景
Rapidusは2022年8月設立で、世界最先端のロジック半導体の開発・製造を目指している。日本国内では半導体設計に携わるエンジニア人材の確保が課題となっており、海外企業との協業で設計機能を補う動きが進んでいた。今回、インドのITサービス大手HCLTechが新設した開発センターと連携することで、設計工程の一部をインド側に委ねる体制が整った。
日本企業への影響
Rapidusが選んだのは、自社で全工程を抱え込まず、インドの設計人材を外部機能として組み込む手法である。半導体の設計・開発を担う日本企業にとって、国内の人材不足を補う手段としてインド企業との協業がどのような形で成立し得るかを示す具体例となる。HCLTechとの関係を持たない企業にとっては、取引関係の有無にかかわらず参考にできる事例にとどまる。
この記事の概要
次世代半導体の国産化を目指すRapidusが、国内人材だけに頼らない開発体制づくりに踏み出した。10月26日、インドのITサービス大手HCLTechとの技術協業を発表し、同社がカルナタカ州ベンガルールとフブリに新設した開発センターを同日本格稼働させた。両拠点はマスク設計、設計インフラ構築、プロセス設計キット(PDK)開発、設計技術協調最適化(DTCO)、レイアウト設計といった半導体エンジニアリングの各工程を担い、Rapidusの設計業務を支援する。
加えてHCLTechは、日本国内で見込まれるRapidusの人材需要を見据え、インドでのエンジニア育成・確保にも協力する方針だ。同日インド・ノイダのHCLTech本社で開かれた式典では、Rapidusの小池淳義社長兼CEOとHCLTechのC Vijayakumar CEO兼マネージングディレクターが握手を交わし、両社の連携を印象づけた。この動きは、経済産業省が10月19日に表明したRapidusへの3年計4,000億円の追加出資とも軌を一にしており、同社が掲げる2027年度の2ナノ世代量産開始という目標に向けた布陣の一つといえる。
背景として、政策運用や現地実務の差分が最終的な収益性に影響しやすいため、一次情報の確認だけでなく、現場ヒアリングを含めた検証が重要です。
詳しくは参考記事をご確認ください。
キーワード解説
PDK(プロセス設計キット(Process Design Kit))
半導体の製造プロセスに合わせた設計ルールやライブラリをまとめたデータ群で、チップ設計時に製造条件との整合性を確認するために用いられる。
DTCO(設計技術協調最適化(Design Technology Co-Optimization))
半導体の設計段階と製造技術を同時に最適化する手法で、性能や歩留まりの向上を図るために用いられる。
※用語解説は記事の理解を補助するための一般的な説明であり、法務・税務・投資その他の専門的助言を目的とするものではありません。


